美

一日お休みをいただいて、
長野県・三城にある前田木藝工房を訪ね、
三代目で江戸指物師の前田純一さんと奥様にお会いしてきました。
長い時を経ての再会。
変わらぬ笑顔で迎えていただき、
様々な記憶、感情が蘇りました。
二十代前半。
見知らぬ地で奮闘していた頃にいただいたご縁。
大事な時期に、素晴らしい環境と、
美しい暮らしを実践されている大人に出会えたこと。
それは今も、私の大切な財産です。

この日、栗のお盆を求めました。
日本の山で何年も生きた木を、数十年かけて自然乾燥させ、
前田さんの手で削られた特別なもの。
手にした瞬間、緊張と感動が入り混じります。

前田さんは、
「お盆で子ども達が運んでくる姿なんて、可愛らしいじゃない」
とチャーミングな笑顔でおっしゃいました。
続けて、
「美しい所作が生まれると良いね」と。
あれから二年。
わが家では毎日のようにこのお盆が食卓に上がります。
子どもたちも大切に扱っており、
運ぶ姿にも、少しずつ所作の美しさが宿るように思います。
美しいものからは、美しい所作が生まれるのですね。
日々の中で、静かに、美しく役割を果たしている。
ものづくりの本質を見た気がします。