杜人
『杜人』という映画を観てまいりました。
全国の傷んだ木々や大地の治療にあたる
造園家・矢野智徳さんを追いかけたドキュメンタリーです。
窒息寸前、循環不全の大地と真正面から向き合い、
自然に倣った手法で蘇らせていく矢野さん。
時間をかけて息を吹き返す各地の木々。
柔らかく変わっていく土。
〝風の草刈り〟によって、通り始める爽やかな風。
それらを見せていただき、大きな希望を感じました。
何故大きな土砂災害が頻発するのか、河川の氾濫が起きるのか。
人の手で大地が隠されてしまい、関心を持つことが難しい時代ではありますが、
自然の痛み、真実を知ることは大切です。
放映の劇場は限られていますし、公開期間も短い様ですが、
ご興味のある方には是非ご覧いただきたいと思いご紹介させていただきます。
『杜人』
〜環境再生医 矢野智徳の挑戦〜
監督・撮影・編集/前田せつ子
※関東では、アップリンク吉祥寺、横浜ジャック&ベティで公開中です。
現在の住まいは、所謂〝がけ〟と隣り合わせ。
鎌倉では珍しくはないのですが、
広場へ出る小道の右手には、高さ7mの丘(崖)があります。
また、隣家との境にも3mの崖をかかえています。
敷地自体に、緩やかな傾斜(排水勾配)がついており、水はけがそこまで悪くはないこと。
長い間地形が変わっておらず、植物が良く根を張り山肌が痩せていないこと。
法下に工作物がなく、水脈が切れていないことなどは安心材料となりましたが、
土地購入時には、
やはりこの環境や、街自体の地形が気になって、
災害や土中環境に詳しい本を何冊も読みました。
そんな時に、尊敬する先輩から、
知りたいことは『土中環境』という本に詳しいかもしれませんよと教えていただき、
私は、そちらの本の中で矢野さんの存在を知ることになりました。
矢野さんによると、
健全な土中環境を保つには、土が硬くならない様に
空気や水の抜け道を作ってあげることが大切なのだとか。
肌感覚を頼りに庭を見てみますと、
植物はそれぞれに多様な根を伸ばし、土中に水や空気を送っている。
虫達も、土を耕したり、葉を食べ地際の風通しをよくしている。
そんなことが良く見えてきました。
あまり余計なことはしない方が良いと考えていましたが、
映画を鑑賞して、
植物や狸、蛇に出来ないことを人(私)が担ったら良いのだなと、はっきりと自覚することが出来ました。
藪化している場所は詰まりなので、道を通して改善の手伝いをする。
水たまりを作らないように、水切りをする。
雑草は引き抜かずに風揺れの大きい部分で刈る。
(雑草は根こそぎ抜くので暴れるとも聞きます。
矢野さん流〝風の草刈り〟は、脇芽が出るので土中の細根が増えるそうです。)
日当たりや風通しをよくするため、密生した竹藪の管理も学びたい…etc
大地と植物との関係が住環境や防災にも直結しているので無関心ではいられないわけですが、
ただ綺麗だなと見せてもらっているだけではなく、
管理法を学び、子ども達にも伝えていきたいと思う。
多種多様な庭。
一見、生えっぱなしで野放図の庭。
格好悪い?と思いながらも・・
これはこれで性に合っているなと和んでいます。
矢野さんには、自然体で生きる美しさも教えてもらった様な気がします。