床のこと
2015.02.04
犬と一緒に暮らすご家庭の「床」について考えています。
近年、ペット用に開発された特殊コーティングのフローリングや専用塗料を多く目にする様になりました。
滑り難い、変色し難い(耐アンモニア性)、汚れや傷に強い等、特性は様々。
ただ、高価なものであったり、無垢の素材感を損ねるものが多く、中々理想的な商品に出会えません。
今回のクライアントさんは、床材選びをする上で次の2点を大切にお考えです。
・犬の体に負担のかからないこと
・無垢の素材感を楽しめること
そこで、床のお手入れが発生することを充分にお伝えし、樹種の特性や日々のお手入れ方法と合わせて
無垢の質感を楽しめる床材のご提案をすることにしました。
◯フローリング選びの視点
|汚れ・耐久性
挽き板タイプ(無垢同等の質感を楽しめる、複合構造で反りや収縮の少ないフローリング)の幅広のフローリングをご提案しました。
(※挽き板でも、表面の材の厚みが4ミリ以上あると安心です。)
無垢材は、無垢の特性である材の膨張収縮を考慮して、一枚一枚の間にわざとスペーサーで隙間を空けて施工を行います。
ここにペットの尿等が染み込むと、後に匂いや黒ずみの原因になるのですが、
挽き板の場合は、材が安定しており、動きが少ないためスペーサーなしでぴったりと施工することが可能です。
そのため、ジョイントへの吸い込みが無垢よりは抑えることが出来ます。
万が一粗相をしてしまった場合でも、直ぐに固く絞った雑巾で拭けば、大抵の場合は問題になりません。
挽板タイプであることと同時に、フローリングの幅が広いことも大切。
大判で目地が少なくなると、木目の自然でダイナミックな表情を楽しめるだけでなく、お手入れもぐんと楽になります。
痛みや汚れは、ジョイントから目立ち広がる様になるため、ここは大切なポイントですね。
|硬さ
硬すぎるとつるつると滑って、犬が足腰を痛める原因になります。
一方、パインや杉の様に柔らかすぎると、気持ちは良いのですが傷が付きやすく、気を使います。
そこで、ナラ、チーク、タモ、ウォルナット等、程よい硬さの樹種を選ぶことが大切に。
|耐水性
ピンカドやチークの様に、材自体が油分を含んでいて、耐水性にも優れているオイリーな樹種を選べるとベターです。
ただし金額は高めなので、簡単にご提案は出来ません。
今回は、ナラ材に油分を含んだ自然塗料を施すことで耐水性を高めることにしました。
|滑り難さ
うずくり加工(木材の表面をこすり、年輪の凹凸を際立たせる加工)の床材は、自然な凹凸で滑りやすさを和らげると同時に、
傷が目立ち難い特徴があります。
又、傷つきやすい柔らかい部分が予め傷ついてなくなっているため、木材の表面が強く極端に気を使う必要がないところが良いですね。
表面の凹凸により、床と足裏に少し隙間が出来ます。
これにより、夏は涼しく冬は暖かい木の良さを味わうことも出来ますよ。
うずくり加工のフローリングに、適度なしっとり感のある塗装を塗布すれば、グリップがしやすい床になります。
|傷の目立たなさ
濃い色味の樹種は、傷や水染みが目立ちやすいためあまりお勧め出来ません。(水染み等は、放置すると白っぽくなります)
今回は、淡い色目で、木目が美しいナラ材を採用しました。
|トップコート
ナラは、広葉樹で木目の美しい環孔材のため、木の導管に擦り込んで木目を際立たせる
オイル系の自然塗料を選ぼうと考えています。
現在、自然塗料を数種取り寄せ比較実験中です。
どれも、口に入れても安心な米ぬかやエゴマオイル、大豆やひまわり油が主原料の安全性の高い浸透系塗料。
表面に硬い塗膜を形成しないため、傷の補修も容易に出来るのもポイントです。
油分の含んだ塗装を選ぶことで、床の水分を跳ね返すチカラを高めます。
マットな質感で、しっとりとした質感は、メンテナンス性が良いだけでなく、
無垢材の魅力を最大限に引き出す最高の仕上げと言えます。
犬や猫との同居に限らず、小さなお子様のいるご家庭にもぴったりですよ。
今回は、挽き板のフローリングに自然塗料を塗布するご提案をしましたが、ご家庭にあった仕様は様々です。
日々のお手入れが難しい場合には、ウレタン系の塗膜がはってあるフローリングや、
ペット用のフローリングを選定される方が良い場合もあります。
(フローリングの実(ジョイントの小口)や裏面までウレタン塗装のされたものもあります。)
又、フローリングよりもカーペットやタイルをお勧めする場合もありますし、
ラグとフローリングを組み合わせるのも良いかもしれません。
都度、丁寧にヒアリングをしながら選ぶことが大切です。
尚、犬自身の肉球まわりの毛のお手入れや、爪のお手入れも大切なのは、言うまでもありません。
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